スティーブン・R・コヴィー、実行を語る 偉大なリーダーは、組織の最優先事項の実行へ向けて、チームの最大かつ最善の働きを引き出す。

優れた組織で変化を起こすのは、リーダーです。国際化が進み、知識を基盤とする現代社会では、かつてないほど偉大さが求められています。持続可能な財務実績、強い顧客ロイヤリティー、勝利を勝ち取る文化、市場での独自の貢献、これらはすべて、真に偉大さを発揮する組織の証明です。

偉大な組織は、偉大なリーダーによって作られます。そのようなリーダーは、組織の最優先事項の実行へ向けて、チームの最大かつ最善の働きを引き出します。

すべての組織やリーダーが偉大さを熱望しているにもかかわらず、それを達成できるのはごく少数に限られているのはなぜでしょうか。問題なのは、リーダーシップについて古いアプローチ方法に頼っているリーダーが少なくないということです。偉大なリーダーは、世界を違った視点で見ているだけでなく、物事の進め方も異なります。

現代のビジネス社会において、戦略的目標を実行するのは決して簡単ではありません。組織と最重要目標を協調させつつ事を進めるのは、終わりのない挑戦となります。さらにスタッフが常に積極的に関与し、最重要目標にフォーカスした状態を維持することも不可欠です。社員全員が一丸となって、最優先事項にフォーカスし、最重要目標の達成に全力を傾けている組織を想像してみてください。

ラム・チャランは、著書『実行』の中で、「戦略の失敗の70%は、実行のまずさによる。知性やビジョンの欠如によるのではない。」と述べています。すべての組織は、個人によって構成されています。個々の仕事を組織の最優先事項に調和させなければ、組織としての目標達成はありえません。多くの人が目標を達成できない理由は、目標自体を定義していないことにあります。

フランクリン・コヴィー社では数年間にわたり数千のチーム、何百もの組織を対象に、実行のトピックについて研究を重ねてきました。この研究から、実行が挫折する4つのパターンを発見しました。

第1に、個人やチームが目標を知らない、ということです。目標が多すぎるか、あるいは明確にされていないのです。

2つ目は、個人やチームが目標達成のために何をすればいいのかを分かっていない、ということです。つまり目標が日々の活動に置き換えられていないのです。

第3に、個人やチームがスコアをつけていないことです。本当に重要なこと、自分や所属する組織の成功のため不可欠なことを達成するうえで軌道上にいるかどうか、どんなときも分かっている人はわずかしかいません。

第4に、個人やチームにアカウンタビリティがないことです。最重要目標に向かう段階に対して、お互いに責任を負っていません。

これらの障害を克服するのは簡単なことではありません。仕事を持つ人のほとんどが、以前に比べより多くの選択肢を持ち、多くのテクノロジーを利用できるようになっている一方で、競合する優先順位をフィルタリングし、最優先事項を完璧に実行する方法を身につけている人はごくわずかなのです。

ここで映像「ゴール」を紹介しましょう。目標の達成の難しさをサッカーの試合に例えたものです。登場するサッカーチームをあなたの会社のチームに置き換えて考えてみてください。

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